植物に魅せらた人/ヤシとオリーブ

私が美術展に行く楽しみの一つは、いつの時代もどこの国にも植物に魅せられた人がいて、必ず植物がモチーフになった作品に出会えることです。

私にとってボタニカル・アートと言えばルドゥーテでした。たびたび開催されるルドゥーテ展には何度も足を運びましたし、我が家に二冊あるルドゥーテの図譜は宝物になっているからです(笑)。

以前に日経新聞で連載されていた大場秀章先生の『植物に魅せられた人十選』でも第1回目にルドゥーテが紹介されていました。

こちらは4回目に紹介された、川原慶賀

植物に魅せられた人

植物に魅せられた人

シーボルトは川原慶賀に植物画をより精密に描かせるために、わざわざヨーロッパから植物画家を呼んで指導にあたらせたことが書かれています。

開催中の『世界遺産キュー王立植物園所蔵イングリッシュ・ガーデン英国に集う花々』では、ルドゥーテの他にもボタニカル・アートの発展に貢献したアーティストの、17世紀から現代までの貴重な植物画に出会えます。

ボタニカル・アートの魅力

ボタニカル・アートの魅力

心待ちにしていた大場先生の講演は、ボタニカル・アートの発展の歴史他、盛りだくさんの内容で、あっという間の楽しく貴重な1時間半でした。川原慶賀も登場し、慶賀の描いたハマナスが、ヨーロッパで手を加えられてしまって、本来のハマナスではない姿の彫版になっていく様子も興味深く見せていただきました。

ミュージアムでは繊細で美しいボタニカル・アートや植物をモチーフにした作品の数々を何度もまわって眺め、家に帰って図録を眺め余韻に浸っています(笑)。植物に魅せられた人が描くボタニカル・アートは、画家の植物への想いが作品にかもし出るようで、それを眺めるこちらもわくわくします。花ではありませんが、カンパニースクールでインドの画家によって描かれた生き生きとしたヤシは、生命力にあふれ、現地の人にしか描けない魅力を感じます。

印象的なヤシのボタニカル・アートを見た数日後、樹齢500年のオリーブの樹と衝撃的な出会いがありました。正直なところ都会の真ん中に、大木になるヒマラヤスギと一緒に植えられたオリーブの幹を撫でながら、いろいろと複雑な気持ちになりましたが、これもまた強烈なインパクトでした。植物には人を魅了する不思議な力があります。

推定樹齢500年のオリーブ

推定樹齢500年のオリーブ

 

 

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