第3章 第3話 芍薬の香る部屋 〜色彩と霊性が響きあう午後〜
🌹RosyPath 愛と癒しの物語──
第3章《光の贈り物》
第3話:芍薬の香る部屋〜色彩と霊性が響き合う午後〜
初夏の風に誘われるように、芍薬が花開く朝。
その香りは、遠い記憶の扉をそっと開けるように、私の心を静かに揺らします。
芍薬は、母が庭に植えていた思い出の花。
大輪のその姿は、私にとって「高貴な美」の象徴です。
毎年この季節になると、部屋の花瓶に飾った芍薬の香りが、
母と過ごした優しい時間を思い出させてくれます。
◆ 芍薬という名の“婥約”
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
この言葉が昔から語られてきたように、芍薬は女性の美しさや気品の象徴として、着物の文様や吉祥の意匠に用いられてきました。
けれど、ただその見た目の麗しさだけでなく、芍薬の花にはもっと深い意味が秘められています。
漢方では、芍薬や牡丹は婦人科の薬として知られ、ホルモンのバランスを整え、肌に艶やかさを与える力があるとされます。
“婥約(しゃくやく)”という名の由来も、「しなやかで美しく、心までも潤わせる存在」という意味を宿しているというのです
(出典:「生薬単」より)。
こうして眺めていると、芍薬の花姿、香り、咲き方――すべてが、どこか“霊性”に繋がっているように感じられてきます。
◆ 芍薬の霊性、魂との交信
芍薬は、精神的な次元でのエネルギーに深く関わる花とも言われています。
直感力、洞察力、インスピレーション――
心の静寂に深く入っていくとき、魂と繋がるとき、
芍薬は私たちの内側に寄り添ってくれる花です。
古代ギリシアでは、芍薬は神聖な力を宿す花として崇められていたそうです。
満ち欠けする月とともに栽培し、花の力を医療に活かしていた時代。
植物は、ただ“飾る”ものではなく、私たちの命と共鳴する大切な存在でした。
私は、バラと同じように芍薬にも霊性を感じています。
咲き始めの緊張感、満開に向かう優雅な膨らみ、
そしてふわりと香り立つその瞬間に、
この世とあの世の境界が一瞬だけ開くような神秘を感じるのです。
◆ 美術館で再び出逢った“秘密の花園”
そんな芍薬の香る部屋で、ふと思い出したのは、
以前訪れた三菱一号館美術館でのルドン展でした。
そのときの感動は、今でも鮮やかです。
ルドンの描く植物には、
現実と空想、目に見えるものと見えないものの境界がありません。
モノクロの目玉の植物も、色鮮やかなグラン・ブーケも、
すべてに生命が宿っていて、
観る者を“秘密の花園”へといざなってくれるのです。
ルドンの樹木には樹液が流れ、
花々は、現実と幻想が溶け合うような色合いで描かれ、
まさに夢の中のような感覚で、その世界に浸ったことを覚えています。
展示室を巡る間中、頭の中ではフランス音楽の旋律が流れ、
まるで音楽と植物の精霊たちが共鳴しているような空間でした。
◆ ペガサス、色彩、そして飛翔
今回訪れたルドン展では、再びあの記憶が甦り、
私はワクワクする気持ちで展示を巡りました。
とくに印象に残ったのは、
ルドンが描いた《ペガサス》。
想像力の象徴であるペガサスは、ルドンにとって「自由への憧れ」だったといいます。
制約から解き放たれ、空高く飛び立つ存在。
それはまさに、「霊性と繋がる魂の象徴」でもあったのかもしれません。
そして、黒の時代を経たルドンが描いた色彩の時代。
今回の展示には《グラン・ブーケ》はありませんでしたが、
岐阜県美術館所蔵の《窓》や、数々の花瓶の中に咲く花たちに宿る、
神秘的な色合いの美しさに、私は深く惹かれました。
私は色彩豊かな時代の作品が好きです。
芍薬の霊性と響き合うような、あの光をたたえた色彩は、
心を穏やかにしながら魂の奥深くまで染み込んでいくようでした。
そんな空間に重ねてご紹介したいのが、
フランスの作曲家ショーソンが描いた幻想的な音楽――交響詩《ヴィヴィアン》です。
アーサー王伝説に登場する妖精ヴィヴィアンの物語を、
柔らかな光とともに描いたこの作品には、
現実と神話が交差するルドンの世界観とも響き合うものを感じます。
🎧 魂の花園に寄り添う音楽 ― ショーソン《ヴィヴィアン》
エルネスト・ショーソン《ヴィヴィアン Op.5》
想像力と霊性の飛翔を描いた、美しく幻想的な交響詩
◆ 芍薬とルドンの交差点で
花のもつ“霊性”と、ルドンの描く“色彩の魂”。
芍薬の香る部屋と、ルドンの幻想的な植物画は、
まったく異なる世界でありながら、
私の内側では自然とひとつに繋がっていきました。
色や香り、植物の姿には、
見えないものを映し出す力がある――。
それはきっと、私たちの中にある「光」と響きあうから。
「芍薬の香る部屋」は、単なる花のある暮らしではなく、
魂との静かな対話の場。
そして、それを深めるように訪れたルドン展は、
私にとって「色彩による祈り」の空間でもありました。
次回は、そんな祈りの続きを、
“雨音と青の世界”で紡いでいきたいと思います。
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