RosyPath第８章第３話 愛は夢中の中に宿る──エルメス 音楽 鎌倉
東京の街が冬の気配を帯びはじめた頃、私はひそかにワクワクしていました。
シャネルの刺繍展が想像以上に心を震わせたあの日から、
次はエルメスがどんな世界を見せてくれるのだろうと。
娘から「面白かったよ。なかなか予約が取れないから気をつけて！」と聞き、
慌てて予約サイトを覗くと、案の定全日どこも満席。
諦めかけたその瞬間、ぽつりと1席だけキャンセル枠が現れ、
まるで導かれたように、私は TOKYO NODE へ向かいました。
TOKYO NODE に着くと、数名ごとのグループに分けられ、
スマホを手に案内を待つことに。
「えっ？ゲーム？」——
ただの展示ではない空気に、思わず内心で笑ってしまいました。
けれど、その“ちょっとした戸惑い”が合図だったように、
扉の向こうから、遊び心あふれる世界が私たちを迎えてくれたのです。
馬術を象徴するメゾンのオブジェに、
いたずら好きの馬たちが姿を隠した──
そんな物語に導かれながら、参加者それぞれが “探す旅人” になっていきます。
私はというと…
馬を探しつつ、つい美しいディスプレイに見入ってしまい、
制限時間との戦いは常にギリギリ。笑
結果は30頭中22頭。
でも不思議と、悔しさより満たされた気持ちに包まれました。
なぜなら――
俳優さんもスタッフさんも、この世界そのものを本気で生きていて、
その空気に引き込まれた私自身も、いつの間にか物語の住人になっていたから。
そして何より、
デジタルとアナログを巧みに融合させたエルメスの遊び心が、
とにかく面白かった。
大切なのは答えの数ではなく、
「夢中になった時間」 。
その感覚を抱いたまま、私は次の場所へ向かいました。
夢中になる時間は、場所も形も変えて、
同じ高揚を何度でも呼び起こしてくれる。
そんな予感とともに。
ずっとYouTubeで応援してきた角野隼人さんのコンサート。
人気が高まりすぎて、気づいた時にチケットはいつも完売。
今回も半ば諦めていたのですが、大規模なアリーナ開催のおかげで、S席を手にすることができました。
席はステージ右端のレベル5でしたが、音はとてもクリアに届き、
演奏の細やかなニュアンスまで感じ取ることができました。
映像と音楽が融合した演出は圧巻で、舞台全体が一つの世界になっていました。
水の揺らぎや月光をモチーフにした映像演出は、広い会場ならではのスケール感があり、
クラシックに馴染みのない方にも楽しんでもらえる工夫だと感じました。
時には目を閉じて、自分の心の中に広がる風景にひたるひとときも楽しみました。
印象に残ったのは、初めて聴くプリペアドピアノの音色。
角野さんのリズミカルで躍動感あるタッチからは、アフリカやブラジルの原住民が歌い踊る光景が目に浮かびました。
また、カプースチンの曲も素晴らしく、ジャジーで親しみやすいのに、決してアドリブではない高度な演奏に心が躍りました。
アンコールでは、まずアンプを外して1曲。
ピアノ本来の響きに、あぁ、やっぱり生の音が好きだなと。
その余韻がふっとほどけたところで──
続いては、Cateen YouTubeでお馴染みの「きらきら星変奏曲」。
ご自身がレベルごとにアレンジした作品で、
アリーナのレベル1〜7の座席とリンクさせた、遊び心あふれる演出でした。
撮影OKとご本人の声が響くと、喜びのざわめきが。
音楽をもっと自由に、もっと身近に。
そんな彼の想いが、真っ直ぐに伝わってきました。
このコンサートでは、若い才能のエネルギーと、18,546人の観客が作り出す大きなエネルギーに包まれ、
その中の一人として体験できたこと自体が貴重な思い出です。
角野さんは、YouTubeやSNSで子どもから大人まで、誰もが音楽に親しめる工夫を絶えず行っており、
その努力の成果を目の当たりにした気持ちになりました。
私自身も４年前のショパンコンクールを聴いてピアノを再開し、
昨年は体調を崩して休止していましたが、 少しずつ回復してきたので
また鍵盤に向かう日々を楽しみにしています。
コンサートは、私の心に再びピアノへの情熱を呼び覚ましてくれます。
チャンスがあれば、またその音に身を委ね、心ゆくまで楽しみたいと思います。
翌日は晴天で、太陽の光を浴びたくて、潮風と紅葉に包まれるひとときを求めて、鎌倉へ。
古都の香りと柔らかな冬の光。
街並みや自然の中で、五感を研ぎ澄ましながら歩くひとときは、
展示や音楽で味わった高揚をさらに深めてくれます。
日が良かったのか、神社では結婚式の晴れやかな姿に出会い、
その幸福をこちらまで照らしてくれるようでした。
かつて誇らしく空へ伸びていた大銀杏の切り株のそばには、
そこから生まれた新しいイチョウがしっかりと根を張り、
ずいぶん大きく育って黄金色に輝いていました。
あの大銀杏がまだ健在で、家族で年賀状の写真を撮ったあの日から、
どれほどの時が経ったのでしょう。
失われたものの大きさ、そして受け継がれた命のたくましさ。
そのどちらにも胸が熱くなりました。
ちょうどそのとき、境内にど〜ん、ど〜んと太鼓の音が響き、
この瞬間に立ち会えたことへの感謝が静かに込み上げました。
紅葉を映した池を、美しい鯉がゆったりと泳ぎ、
その優雅な光景をしばらく眺めていました。
水鏡に映る秋の色。
未来へと伸びる若木の力強さ。
幸福が満ちていく結婚式の明るさ。
全部つながって、ひとつのメッセージが浮かびます。
「今を楽しんで大丈夫」
「心が動く方へ、そのまま行っていい」
エルメスの遊び心に夢中になった日。
角野隼斗さんがギネス記録に認定されたコンサート。
鎌倉で浴びた美しい自然の色と光。
形は違っても、全部が同じテーマを語っていました。
——夢中になる時間は、魂の栄養。
本物の美しさは、私たちを前へ進ませてくれる。
愛は、いつもそばにある。
読んでくださったあなたの日常にも、
小さなときめきと癒しが届きますように
またここから、ご一緒に。
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心軽く、笑顔で歩いていきましょう🌹✨
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- note：RosyPath-植物と心の旅
